全100話
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第1話 千年に一度の帝
紀元前221年、秦は相次いで韓、趙、魏、楚、燕、斉の六国を滅ぼした。 中国史上初めての中央集権統一国家である。 秦の王、えい政は自らを始皇帝と名乗った。 紀元前219年、41歳の始皇帝は泰山に登り封禅の儀を執り行った。
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第2話 雲をしのぐ意気
紀元前218年、始皇帝は東へと巡行し、現在の河南省博浪沙へとさしかかる。この時、驚愕すべき事件が起こった。 もと韓の国の貴族であった張良が徒党を組み鉄槌を以て一行を襲ったのだ。
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第3話 阿房宮と驪山
始皇帝は六国の全ての兵器を接収した。 同時に咸陽に六国の宮殿の複製を造営する。一番大きなものが 「阿房宮」。華やかで美しく豪華なものが「驪山園」と呼ばれた。これらは秦王朝の統治が千年万年続くことを願って作られたものである
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第4話 烽火があちらこちらに
紀元前二一五年、皇帝は大将軍蒙恬に北方の匈土を翌年には将軍の趙佗に南方海上の攻撃を命じる。 これにより秦の領土は北はゴビ砂漠に南は海上に臨み、西は現在の 甘粛省に至る広大なものになった。
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第5話 焚書坑儒
始皇帝は文字、貨幣、道の幅、度量衡を統一した。 しかし自らを批判する者は断じて許さなかった。 彼は中央集権制に異を唱える儒者たちへの見せしめに焚書坑儒を命じる。この強攻策は中華文明の歴史に禍根を残すこととなった。
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第6話 万里の長城
紀元前二百十三年、始皇帝は大量の人員と物量を注ぎ込み 「万里の長城」の建設に取りかかった。 長く広大な長城は北の国境周辺に住む民たちの暮らしを守り 中央集権国家の繁栄を象徴するものになった。
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第7話 き橋に履を拾う
始皇帝は張良を捕えることが出来なかった。 張良は身を隠し、現在の江蘇省で。黄石公という老人と出会う 老人は橋の上から靴を投げ捨て張良に拾わせた。 この不思議な縁から張良は黄石公の教えを学ぶこととなる。
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第8話 見所があるので教えてやる
黄石公は太公望呂尚の「兵法」を張良に伝授した。 この書によって張良は人生の大きな転機を迎える。 「兵法」の神髄を理解することとは天下を治めるための重要な人材となることである。黄石公の薫陶を受けた張良は偉大な戦略家となっていく。
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第9話 めでたい兆しが東から来る
始皇帝は秦朝の行く末を日夜、憂いていた。 東南に現れた帝王の気を絶つため、始皇帝は秦淮河を掘るように命じた。 また六国の復興を恐れ、泗水で伝説の鼎を探させた。 このような天にあらがう行為も、結局はすべてが無駄となってしまった。
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第10話 取って代わる
紀元前二百十一年、始皇帝は五度目の行幸へと出発した。 雲夢から長江を渡り、さらに北上して現在の山東省、琅やへと向かった。 だがその途中…会稽郡の虎丘山では楚の国の残党が反乱の狼煙を上げる機を狙っていた。
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第11話 魂が消える
老いと病、反乱の恐怖が始皇帝を苦しめていた。 秦王朝の繁栄を願う始皇帝は切に不老不死を求めていた。 紀元前二百十年、始皇帝は方術士にいわれるまま現在の山東省、琅やの海へ不老不死の薬、仙丹を求めたが…
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第12話 災いは身内から
紀元前二百十年七月、中華を統一した秦の始皇帝は行幸中 現在の河北省、沙丘で病をこじらせ命を落とす。 宦官の趙高はこの死を隠し朝廷の権力を奪い取るために陰謀をくわだてる。
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第13話 臣下の反乱と不肖の子
始皇帝の死後、趙高と李斯は、おのれの保身と欲望のため陛下の遺言をすりかえ胡亥を二世皇帝に仕立て上げた。 さらに長男の扶蘇やその兄弟たちを殺し血なまぐさい宮廷茶番劇を演出する。秦王朝発展の礎は壊滅的な危機を迎える。
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第14話 旗竿を立てる
紀元前二百九年、陳勝、呉広らは秦朝打倒のため「張楚」の国をて狼煙を上げた。 これは中国史上はじめての農民一揆である。 また芒とく山では劉邦も打倒秦朝の旗印をたて立ち上がった。
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第15話 勝利を収めた
紀元前二百九年八月、劉邦は驪山陵へ連れて行くはずだった人足たちを義勇軍に仕立て上げ沛県を占領、食料庫を開き農民たちを救済した。 民たちは劉邦を沛公として押し立てた。 義勇軍は天を祀り、深紅の血染めの旗を翻した。
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第16話 先んずれば人を制す
紀元前二〇九年九月、会稽郡にて項梁と項羽は郡守を殺し秦への反乱を蜂起する。 長江一帯で、彼らは軍馬を求め兵を集めた、この精鋭部隊は「八千子弟の軍」と呼ばれ、こののち、輝かしい戦果をあげることとなる。
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第17話 鼎を持ち上げる勢い
項梁と項羽は精鋭軍を引き連れ長江を渡り英布、蒲将軍の義勇軍と合流する。 陳勝の軍では裏切り者の秦嘉たちが偽の楚王、景駒を立て覇王になろうとしていた。ここ最初の反乱地、会稽郡では…
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第18話 風雲変幻
中国の大地では反乱勢力が次々と立ち上がっていた。 項梁と劉邦の両陣営とも、大業のためには張良の力が必要であると考え 必死に彼を捜し続けていた。その頃、張良は天下を太平に治めるには どうすればよいか、思いをめぐらせていた。
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第19話 賢人を求める
劉邦の部隊は脆弱で負け戦ばかりである。 かたや項梁、項羽率いる軍隊は向かうところ敵なしであった。 覇王とならんとする項梁は楚の王になろうとしていた。 そして紀元前二〇九年冬、あの張良が劉邦の旗の下に現れた…
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第20話 忠告を聞き入れる
紀元前二〇八年春、張良は薛城へと向かった。 項梁より五千の兵馬を借り、劉邦軍の豊邑奪回の助けとするためである。 また、張良は劉邦に項梁との盟約の締結を勧めた。張良は劉邦に、大業の達成こそが大事であること、民心を得ることが重要だと説いた。
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第21話 よく屈すればよく伸びる
張良は劉邦軍と項梁軍との連合を工作した。項梁はどうしても楚の王になりたかったが、軍師の范増は、これを思いとどまらせ、項梁が致命的な戦略の誤りを犯すのを防いだ。劉邦は項羽と義兄弟の契りを交わすことによって当座をしのぐことができた。
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第22話 王にして王にあらず
項梁は軍師范増の意見を聞き自らは大将軍にとどまり、代わりに楚王の末裔を懐王として立てることにした。 范増は劉邦を強敵と見抜き、劉邦と張良を引き離す、「離間の計」を図る。 張良を失った劉邦にはなすすべがなかった。
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第23話 向かうところ敵なし
紀元前二百八年四月、羊飼いの熊心が楚の懐王として即位した。 項羽は連戦連勝で向かうところ敵なしである。 項梁は一族の大業を成す為項羽に軍師范増を義父として敬うよう命じた。
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第24話 壮士むくわれず
紀元前二百八年七月、秦朝は項梁ら反乱勢力を一掃しようと章邯将軍に七十万の大軍を与え出陣させた。 項梁は、章邯の奇襲攻撃にあえなく討たれる。しかしこの重要な局面で章邯は誤った判断を下す。北上して趙を攻めようとするのだった…
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第25話 先に入ったものが王
紀元前二百八年十月、楚の懐王は彭城に遷都する。 そして全権を宋義に与え、項羽軍を縛ろうとする。仇討ちを決意する項羽と真っ向から対立する。懐王は項羽と劉邦に約束する。先に咸陽に入ったものが「関中の王」となると。
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第26話 全軍出撃
紀元前二百八年十月、劉邦は懐王より武安侯を封じられ西へ進み咸陽への進軍を開始した。 沛県の民や兵は欣喜雀躍し、劉邦はためらうことなく総攻撃を呼びかけ 自分が必ずや「関中の王」になることを誓った
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第27話 初戦の勝利
紀元前二百八年十二月、劉邦は二万の大軍とともに沛県を出発し 秦を伐つべく、西へと向かう。初戦では秦の名将王りを打ち負かした。 全軍は勇ましく、かつ力の限り戦う。 さらに開封城の将軍陽熊をも打ち負かす。
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第28話 高見の見物
紀元前二百八年冬、楚の項羽軍は、現在の河南省安陽に駐留していた。 戦うことなく、四十八日間指示を出さない宋義の態度に項羽は我慢が出来なかった。項羽は、宋義、宋襄親子を亡き者にしいち早く章邯との決戦に臨みたかった。
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第29話 背水の陣
紀元前二百七年春、項羽はしょう河を渡る際、自らの天幕や釜、船を焼き払い、兵士には三日間の食料しか与えなかった。 あと戻りの出来ない楚軍は、必死で戦った。これは中国軍事史上、少なき者が多勢に勝利する古典的な先例ともなったのである。
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第30話 鹿を指して馬となす
趙高は自らの権力をさらに固めるため、臣下に鹿を指して馬と言わせるという、宮廷のどたばた劇を演出する。 結果、忠誠な臣下は次々と殺され、宮廷では誰もが趙高を怖れるようになった。趙高は、秦王朝を弄ぶようになっていくのである。
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第31話 引き裂かれた屍
阿房宮は、歌や踊りであけ暮れている。趙高は、酒に溺れる胡亥を好きなように操った。 丞相の李斯は趙高の手により牛車で体を引き裂かれ処罰された。 始皇帝の天下統一を助け、名をとげた李斯のむごたらしい最後であった。
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第32話 向きをかえて一撃
趙高は、咸陽に援軍を求めに来た章邯の副将司馬欣を逆に殺そうとする。一方、章邯は手勢二十万の兵の命を守るため楚軍に投降するほか道はなかった。この章邯のひるがえした矛は、日増しに衰える秦朝への痛烈な一撃となった。
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第33話 翼の生えた虎
二十万の秦軍の投降により項羽の軍は、あたかも翼を得た虎のようであった。しかし、投降した秦軍は「決死隊」と呼ばれる死を恐れぬ精鋭 たちだった。 項羽はこの兵たちが裏切らないか疑心暗鬼となっていく…
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第34話 高陽の酒徒
紀元前二百七年三月、劉邦は秦軍の城塞高陽を攻め落とした。 高陽で暮らす儒者、れき食其はある計略を持って劉邦に取り入る。 この名案で劉邦は豊かな兵糧と人材を手に入れ勝利への一歩を確実に固めていった。
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第35話 人材を登用する
劉邦は陽てきを攻める。陽てきを落とし、これを韓王の成に差し出し 代わりに張良を取り戻そうとくわだてる。 張良は火攻めの計を持って陽てきを攻め落とす。 劉邦と張良は共に天下統一という理想を果たすべく、再び合流する。
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第36話 血を流さないこと
紀元前二百七年六月、張良は宛郡郡主、呂一に降伏を呼びかけ 兵力、兵站そして後方支援を勝ち取る。 れき食其は巧みな計画で関中の要衝、武関の将軍を欺き、無血入城を果たす。劉邦軍は最後の関所蕭関へと向かう。
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第37話 最後のあがき
強大な権力を手に入れた趙高は、ついに正気を失い、酒色におぼれる 秦の二世胡亥を毒殺するに至る。 二世胡亥、享年二十四才、傀儡皇帝の最後である。
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第38話 いまや落ちんとす
紀元前二百七年二月、趙高は咸陽に迫る劉邦に恐れおののいていた。 趙高は義理の息子趙常を劉邦のもとにやり、なだめすかすが、 あっさり断られる。結局、蕭関の将軍は劉邦に城を明け渡し、またしても劉邦の勝ち戦さとなった。
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第39話 長駆直入
劉邦の入城を怖れる趙高は胡亥の甥、子嬰を傀儡として即位させる。 但し、皇帝としてではなく秦王と改めて。 だが子嬰は迷わず趙高を斬殺し仇を討つ。 いよいよ劉邦が咸陽へと入城した。
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第40話 忠言は耳に痛い
劉邦は皇帝気分でうつつをぬかし、軍隊は乱れるままであった。 張良と樊会は劉邦に身をつつしむよう忠告した。 さらに張良は、時を移さず咸陽から軍を引かせるよう進言する。 項羽の軍が函谷関に到達しようとしていたのだ
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第41話 法律は三カ条
紀元前二百七年十月、項羽の大軍は咸陽へと近づいてくる。 一方、張良は軍を咸陽の東の覇上に移動する。 刑法の約法三章は民心を勝ち取り後に、天下争奪のための支持を得ることに大いに貢献することになる。
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第42話 血なまぐさい雨と風
紀元前二百七年秋、疑い深い項羽は英布に秦の投降兵二十万人を殺させた。 この残酷な仕打ちにはじまり項羽は味方からの信頼も少しずつ失い 多くの非難を受けることになっていった。
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第43話 俎板のうえの魚か肉だ
劉邦の部下曹無傷の密告によって項羽率いる軍は鴻門に進駐し 覇上の劉邦軍を叩く手はずを整えた。 また范増は劉邦の暗殺をたくらみ鴻門で宴会を設けることにする 劉邦は宴会に出席し、許しを請うしかなかった。
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第44話 剣舞のねらいは沛公
鴻門の宴会には激しい殺気がみなぎっていた。 劉邦は気を緩めることが来ない。 項羽の詰問と范増の伏兵、項庄の剣舞。だが劉邦は項伯、樊会の助けによってかろうじて刃の下をかいくぐり楚の営舎から立ち去る。
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第45話 楚人の放火
紀元前二百七年秋、楚の軍は咸陽に入城する。 項羽は秦王子嬰を斬殺する。彼は生き埋めにした二十万秦軍の仲間からの報復を怖れ、咸陽での即位を拒む。項羽は秦王朝を一切の罪業とみなし、あの阿房宮までも焼き払うのだった。
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第46話 英雄の素顔
虞姫(虞美人)は炎の中で命を落とすところを項羽に救われ、二人は 再会を果たした。一方、項羽と范増は考えの違いを際だたせ互いに譲ることはなかった。虞姫は項羽の妨げとなると考え立ち去ってしまう。 項羽は虞姫を取り戻し生死をともにすると誓った。
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第47話 猿が衣裳を着た
項羽は、とうとう始皇帝に取って代わった。地方の豪族達が領地を求めた為、天下を再び封建制へ戻そうとした。 韓生は都を咸陽に定めることを勧め、故郷の江南へ戻りたい項羽をいさめたが、逆に鍋で煮られてしまった。
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第48話 さかさまのやり方
西楚覇王となった項羽は十八の諸侯を分封した。 先に咸陽に入った劉邦は蜀の王として辺鄙な山奥へと追いやった。 劉邦軍の将兵は義憤に燃え項羽に対して強硬手段をとろうとする。 張良は項羽との直談判に出かける決心をする
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第49話 からみあう紛争
項羽と范増の対立はますます激しくなり、項羽のまわりはもめ事ばかりだった。張良は項羽と交渉し劉邦を漢王に封じさせ合わせて三万の兵馬を勝ち取った。范増は張良に刺客を放つが張良は逃げかわし見事に 任務を終わらせた。
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第50話 もぬけの殻
項羽の独断専行による分封政策は項羽と范増の対立の火種となっていく。 漢王となった劉邦は急ぎ漢の地へと向かう。 一方、韓信は項羽を見限り楚軍からの離脱を計る。 ここに、新たな展開が生まれつつあった
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第51話 別れ道を行く
范増はなんとか亡き項梁の遺言を果たしたいと項羽の無礼を咎めることもなく、続けて力となり人材の重用を進めていく。 韓信は孫傑、鐘離昧の助けのもと楚軍から脱出。 また、陳平もこの混乱のなか、楚軍を抜け出すのであった
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第52話 人の志が城をつくる
紀元前二百六年四月、漢王に封じられた劉邦は咸陽から漢の領地に 向け出発する。 やっかいな問題はいったん避けることができた。さらに項羽の追跡を避けるため、張良は一計をめぐらし桟道を焼き払う。
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第53話 死地に生あり
漢へ進軍の途中、張良は約束に従い韓に戻ることになった。 劉邦の求めに張良は自分が選んだ三軍の統帥を推薦した。 韓信は范増、項羽が送った刺客を突破し、陳倉の小径に入ることが出来た。
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第54話 錦を来て故郷に帰る
紀元前二百六年五月、項羽は咸陽を焼き払い東へと帰る。 途中、陽てきに立ち寄り威勢を見せつけるため韓王の成を殺した。 張良の韓復興の夢は消え失せた。 張良は項羽の残虐統治の打倒を誓う。
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第55話 政治にうちこむ
紀元前二百六年、劉邦軍は漢に駐留した。蕭何は労をいとわず漢王の補佐と事務を担当する。また、蕭何は劉邦に韓信を推薦した。 劉邦は張良推薦の人材を心にかけていたので、書簡を持たない韓信には会わなかった。韓信は怒りを以て漢を離れた。
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第56話 汗馬の功
韓信が去ったことを知った蕭何は年老いた体で、すぐさま馬を走らせ後を追った。 秦嶺の山中、暗やみの中でとうとう韓信に追いついた。 長い年月にわたり伝えられる美談である…
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第57話 壇に登って将を拝す
蕭何は韓信を取り戻す。 韓信には辛抱強く待機させ、劉邦には韓信を大将軍にするよう説得した。 やっと劉邦は張良が推挙したのが韓信であることを知る。 劉邦は韓信を大将軍、三軍の統帥とした。
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第58話 一罰百戒
紀元前二百六年六月、劉邦は金殿にて韓信に礼拝をする。 韓信はすぐに十七条の禁止令を発布する。 禁令を犯した殷蓋は劉邦の助命嘆願も顧みられず斬殺される。 劉邦は複雑な思いであった。
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第59話 才を誇り傲慢だ
韓信は鉄の規律を以て練度を高め強靱で強い軍隊を作り、絶えず劉邦の権威に挑んでいた。 韓信のやりかたに劉邦は不服であった。 天下統一を狙う劉邦は顔色には出さずに、密かに策を練っていた。
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第60話 桟道を修理
紀元前二百六年八月、韓信は三秦平定の機は熟したと考え、遠征を 画策し、樊会に桟道の修理と、隠密に陳倉の小径の開拓を命じる。 項羽が劉邦を抑えるための三秦王だったが、雍王の章邯は劉邦を侮っていた。
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第61話 ひそかに陳倉へ
韓信率いる漢軍は秦嶺を越えた。廃丘を水攻めにし、雍の全軍は壊滅 雍王の章邯は自害した。 てき王の董翳、塞王の司馬欣は戦わずして降伏。韓信は三秦を平定すると、章邯の黄金の鎧を手に入れ勝利をかみしめる。
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第62話 虎口を脱出
紀元前二百六年冬、項庄は呂雉と家族を捕えたが周勃に奪い返されてしまう。 項羽は再び軍勢を向けたが劉邦軍は英布、鐘離昧と戦いなんとか劉家の一行は関中へたどり着いた。
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第63話 はかりごとをめぐらす
紀元前二百五年、張良は漢軍に戻った張良は劉邦に櫟陽に長く留まるべきではないと説き天下統一の重要性を語る。 慶事の宴席で劉邦は張良、蕭何、韓信を漢の三傑と称した
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第64話 信を裏切る
項羽の恐怖政治は続く。楚の義帝熊心を殺し、民からの信頼を失う。 諸侯の誰もが身の危険を感じ、斉王の田栄はさっそく謀反を起こす。 西楚の覇王は生涯にわたり四面の敵と構える。 さらに項羽と范増の対立は激化していった。
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第65話 戦さを始める口実
紀元前二百五年三月、劉邦と諸侯の連合軍は楚の義帝の仇として項羽討伐へと向かう。劉邦は蕭何を関中に留め、韓信に櫟陽を守らせた。 呂雉はなにかと理由をつけて張良をも遠ざける。劉邦は自ら大軍を率いて東へ向かった。沛県の将軍たちは故郷に帰ることを望み出撃した。
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第66話 破竹の勢い
紀元前二百五年四月、劉邦は自ら五十六万の軍勢を率い「反覇復仇」の旗を揚げ項羽討伐に向かった。 途中、彭越と陳平も相次いで投降。項羽は斉国の平定で彭城には不在であった。ここに楚漢戦争の火ぶたが切られたのである。
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第67話 歓楽きわまりて悲しみ生ず
紀元前二百五年四月、劉邦の大軍は彭城に入城し項羽の宮殿を占拠、 劉邦は極楽気分でうかれまくっている。漢軍は張良、蕭何、韓信が三人とも不在。軍規を欠き兵士は略奪を繰り返していた。 あきれた呂雉は家族を連れ沛県に帰ってしまう。
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第68話 さんざんな負け戦さ
紀元前二百五年五月、劉邦の大軍は軍紀が乱れていた。 引き返した項羽が三万の精鋭を繰り出すと、劉邦には防ぐすべがなかった。雍歯の機転で劉邦は逃走に成功するが、妻の呂雉、父の劉湍は人質として捕らわれてしまう。
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第69話 軍隊を再編成
腹を立てる韓信に張良は、天下の民のために劉邦を補佐すべきと諭した。劉邦も仕方なく、韓信に軍を掌握させようとする。 しかし高邁な韓信は劉邦を見下していた。張良は必要な人材を確保すべく九江王の英布を寝返らせる策を練る。
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第70話 即座に決定
紀元前二百五年六月、張良は英布を投降させるために随何を派遣した。 項羽もこれに先立ち英布の出兵を催促していた。 英布は間にはさまれ決心がつかなかった。随何の機知で英布は項羽の使者を殺してしまう。英布は仕方なく九江を離れ漢に下る。
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第71話 波をおしかえす
紀元前二百五年七月、劉邦は昔からの縁で投降した英布に冷淡だった。 張良は漢軍の立て直しに尽力する。 劉邦もやがて自分の過ちに気がつく。 劉邦が手に入れた英布の戦力は項羽と対峙できる軍隊となった。
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第72話 神出鬼没
紀元前二百五年八月、韓信は劉邦より左丞相に任命される。 二度目の全軍指揮である。 早速、奇襲を仕掛け魏を占領する。兵力を分散させ項羽支持勢力の 分断を図る。楚漢戦争は新たな段階に向かおうとしている。
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第73話 箸を立てて謀る
劉邦は勝ちを急ぐばかりに、れい食基の提案を取り入れ分封を決めてしまう。 張良は故事を以て、劉邦に問いただし分封をやめさせる。 目覚めた劉邦は志新たに始皇帝に学び、天下統一を誓うのだった。
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第74話「鷸蚌の争い」
紀元前二百四年三月、劉邦は陳平を重用するが多くの者が疑っていた。 だが劉邦は人を用いるなら疑わない考えだった。 陳平はかわせみとどぶ貝が争っているうちに漁夫が利を得るという影絵を演じる。陳平が仕掛ける「離間の計」である。
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第75話「なかま割れ計略」
劉邦の軍は才能あるものがますます増え、逆に項羽の軍営では少なくなっていった。陳平の「離間の計」が進むなか、項羽は范増が漢に降るのではと疑い始める。項羽はついに、范増を追い払ってしまう。 まさに手足を無くす…自業自得である。
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第76話 恨みをのんで終る
紀元前二百四年四月、范増は項羽に追い出され悲憤のあまり自死する。 項羽が陳平の策略に気づくのが遅かった。 ただやられたらやり返すだけである。 項羽は策士のかい通を韓信の大軍に潜り込ませすきをうかがう。
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第77話 背水の一戦
紀元前二百四年四月、范増は項羽に追い出され悲憤のあまり自死する。 項羽が陳平の策略に気づくのが遅かった。 ただやられたらやり返すだけである。項羽は策士のかい通を韓信の大軍に潜り込ませ、すきをうかがう。
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第78話 旗をさしかえる
紀元前二百四年十月、韓信は趙国軍の旗を漢軍の赤い旗に差し替えた。 これにより趙国は戦意を失い破れた。 漢軍は井けい口に侵攻、趙王は殺し将軍の李左車を生け捕りにする。 韓信は見識をもって李左車を放免した。
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第79話 身を舎てて義を取る
項羽は義父范増を手厚く葬ったのち榮陽に向けて激烈な攻撃に出た。 劉邦を死地に追いやるためである。 絶対絶命の劉邦を救ったのは紀信だった。 紀信は劉邦の身代わりになり投降、項羽軍の犠牲になるのだった。
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第80話 漢王、虎符をぬすむ
劉邦は漢軍の屯営に忍び込み韓信の割り符を盗む。 劉邦は韓信の兵馬半分を自分の物にした。 これを知った、かい通は劉邦の無謀な行動に怒り韓信に謀反を勧めようとする。
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第81話 一足さきの勝利
紀元前二百三年一月、漢王は韓信の精鋭兵を得て黄河へのにらみをきかす。蕭何からの兵站も絶えることなく運ばれた。 れい食基は斉国へ特使として出かけるが、韓信が無視をして斉を攻めたため、れい食基は茹で殺されてしまう。
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第82話 不意をついて勝つ
紀元前二百三年二月、斉王は項羽のもとに救援を求めた。 項羽は龍且と二十万の軍勢を斉に送った。 しかし韓信は水攻めで敵を撃破する。 韓信の腹心のかい通は韓信が劉邦に斉王にしてもらうようすすめる。
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第83話 天下の流れが大事
韓信は斉国を安寧にすることを口実に斉王に封じられることを望んだ。 張良は韓信を斉王にするよう劉邦を説得する。 張良は斉国に金印を送り、民を重んじるよう戒めた。 韓信は天下三分すべきでないと悟った。
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第84話 韓信は多いほどよし
紀元前二百三年三月 斉国。韓信は張良に天下三分の計はしないと 約束した。かい通は韓信に、まずは天下三分をしてから帝位に就くよう 説得する。韓信の決心は統一の大業にあり謀反は起こさない。 かい通の策略は不意になり、かい通は発狂する。
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第85話 わしにも一杯くれ
紀元前二百三年九月、楚漢両軍は鴻溝にて対峙する。 劉邦は勝敗を決めるときであった。項羽は劉湍と呂雉を煮て殺すと脅すが、劉邦はとっさに、われわれは兄弟なのだから、わたしの父はおまえの父だと説得を始める。
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第86話 ねらいを定める
紀元前二百三年十月、劉邦は深い傷を負ったが秘密裏にされた。 漢軍は蕭何の兵站で兵糧が絶えることはなかったが、楚軍の兵站は 彭越がかき乱していた。劉邦は張良の意見を聞き項羽と停戦しこの局面を終わらせようとした。
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第87話 楚と漢の境界
紀元前二百三年十月、随何が楚軍に出向き将兵達の望郷の念を動かす。さらに項羽を説得し鴻溝を境界として天下を半分に分ける提案をする。 虞姫は劉湍、呂雉を解放し項羽とともに故郷へ帰る準備を始める。
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第88話 決勝千里
紀元前二百三年十一月、張良は東へ戻る項羽を追撃しようと計画する。 劉邦は包囲を狭める命令を下すが韓信、彭越はこれに従わなかった。 張良は手厚い報奨をわたすよう提案する。 劉邦は軍を整え項羽を攻撃した。
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第89話 十面埋伏
紀元前二百三年十二月、韓信は「十面埋伏」の計を用いる。 項羽の軍は二ヶ月以上も身動きがとれない。 項羽は垓下へ打って出るが漢軍の包囲からは逃れられなかった。 垓下の戦いは古今未曾有の戦争悲劇である。
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第90話 四面楚歌
紀元前二百二年春…両軍の死傷者の数を減らすため張良は「四面楚歌」の策を練る。 数十万楚軍の望郷の念をかり立て戦わずして投降させるのである。 項羽を残し楚軍は全員、漢に落ちる。
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第91話 草木みな兵
紀元前二百二年春、楚軍は周り中が敵に見えて戦う気も失せていた。 項羽は死を覚悟して突破に出るが、忠誠を誓っていた将兵も次々と倒れる。 生き延びたものは江東へ向かい再び楚の旗を揚げようと誓うが…
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第92話 覇王別姫
虞姫は天幕で自刎し覇王は虞姫を失う。項羽は大きな悲しみを抱えながら兵を率いて突破に向かう。 しかし血みどろの闘いで子弟軍は全滅した。烏江の渡しで項羽も長江の地に倒れついに故郷を見ることはできなかった。
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第93話 英雄の末路
大地は燃えさかり長江は悲鳴の中にあった。 項羽の末路はあまりにも悲しすぎる。この英雄の命は短く感動の物語も輝きながら幕を閉じた。項羽には九十九の成功があったが最期のひとつは帰らずの道であっった。
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第94話 百の弊害を一掃
紀元前二百年、劉邦は定陶で皇帝に即位する。統一漢王朝を打ち立て、のちに西漢と呼ばれる。劉邦は漢の高祖となった。長い戦がやっと終わり、新たなる平穏が訪れた。劉邦は平民の力を養わせることを国是とした。 これこそが大漢を隆盛させる条件だったのだ
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第95話 一度の食事は千金だった
紀元前二百二年、韓信は軍権を剥奪され、下ひへと追われた。 韓信は昔、恩を受けた漂母をさがし亡くなった彼女の娘に千金で報いる。 鐘離昧は韓信に投降、鐘離昧は自らの首もって韓信を助けようとする
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第96話 富貴栄華
紀元前二百年二月、漢の高祖は都を長安に定める。 壮観な未央宮、長楽宮は皇室の威厳を現した。 皇位継承のため、権力欲の強い呂雉は煙の立たない宮廷戦争を開始する。韓信は雲夢で罪を詫び淮侯に官位を下げられる
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第97話 功は君主をおおう
漢王朝の統治は強固なものとなった。 劉邦は全勢力をかけて韓信、彭越、英布の謀反陰謀を探った。 蕭何は呂雉の脅しに屈して家人である韓信さえも見捨てなければならなかった。あの韓信を帰れぬ道へと投げ出してしまったのだ。
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第98話 成功も失敗も蕭何
良いことも悪いこともすべては蕭何ひとりの仕事に過ぎない。 韓信を長楽宮にだまし入れると、韓信は呂雉の罠にかかり命を奪わる。 こうして蕭何は大漢第一の功臣の名を守った。軍事の天才韓信はまわりを侮りすぎたのだ。
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第99話 鳥尽きて弓は不要になる
漢の高祖は自ら出征し、梁王彭越を長安に連れ帰り尋問した。 呂雉は彭越を殺しその肉を見せしめに英布たちに送りつけた。 張良は次々と殺される功臣に心を痛め、随何に英布が謀反を起こさないよう説得に行かせる
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第100話 国家は安定
劉邦は如意を太子に擁立したかったがこの考えが呂雉の怨恨を引き寄せ、戚姫親子に悲惨な命運を与えてしまう。 張良は劉邦に「秦を鏡とするように」と国家安泰の警告を残すと 亜仙と一緒に深山幽谷のなかへと身を隠した。
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